主犯は誰だ?

なぜ選手たちは大晦日を目指すのでしょうか?


それは圧倒的なギャランティの良さに他ならないでしょう。
高額な地上波放送権料、値上がりしたペイパービュー、高い視聴率を求めて集まる大量のスポンサー、そして通常より高いチケット料金によって潤沢な資金を手にした興行主は出場全選手に対して大盤振る舞いを行います。先日の小川対吉田の両者のギャラの合計が5億円という報道が示すように、通常のグランプリやナンバーシリーズでは絶対に考えられないような破格のギャラが提示されています。それは他の選手に対しても同様でしょう。ギャラの良さは大会に圧倒的な求心力を与え、格闘技でメシを食う全選手がその大会を目指していくのは当然だと思います。


DSEとしては大会のヴァリューを上げ、さらなる資金調達を目指していく一手を常に考えています。同じことをしていてはいつか手詰まりになるという恐怖心からなのか、DSEはまったく客の入らない映画などの他業種への進出と共に、PRIDE本体へのテコ入れを行っています。
しかしDSEはPRIDEを支持しているファンが、何を支持しているのかを間違えてはいけません。


純粋なる完全実力主義


これまでもPRIDEには完全実力主義とは相容れないと思われる選手が登場しています。しかしたとえイロモノでも金魚でも、彼らは必ず何らかのバックボーンを持ち、一瞬とはいえ何か垣間見せてくれる(もしくは期待感を持たせてくれる)選手たちでした。
そんな中で登場したのが金子賢。当然非難囂々です。金子賢は明らかにPRIDEの持つモノとは異質なモノです。純粋を求める支持層が最も嫌う選択をDSEはしてしまったのです。


現時点では金子賢がどれほどの実力を持っているのか、我々が推し量る術はありません。昨年のDynamites!でのボビー参戦の時のように、テレビで徹底した露出をおこなってその実力が並はずれたものではないことをアピールしていないからです。


そう、DSE金子賢参戦発表の時期を間違えたのです。


本来ならばミドル級GP決勝大会前にこの金子賢参戦発表をおこなうべきだったのです。そうすればその参戦に違和感を感じたファンもミドル級GP決勝やヘビー級タイトルマッチを見て、PRIDEの持つ本物感への信用を取り戻せたはずですし、金子賢のトレーニングの模様や成長風景のドキュメンタリーをジャンクスポーツなどの番組で放送することによって金子賢への異質感を払拭できたはずですから。


今回の騒動でPRIDEからのファン離れが起きるとすれば、それは金子賢のせいではなく明らかにDSEの自業自得であることは間違いないでしょう。