PRIDE無差別級GP決勝戦を観てきました

今回は当然のようにジョシュ・バーネットを応援しに行ってきました。が、あらゆる選手、関係者が語っていたように、9月10日はまさにミルコ・クロコップの日だったと言えます。僕自身も含めて、ジョシュが敗れてしまったことの喪失感よりも、ミルコがついに優勝出来たことへの暖かい祝福の思いに会場が包まれていたことが驚きでした。
それにしても、こうして9月10日を経て改めて考えてみるとPRIDEという舞台はミルコ・クロコップというただ一人のファイターの長大な物語を紡ぐための場だったのではないかと思えてきます。僕は絶対的なジョシュファンではありますが、今回ばかりは改めてミルコこそが現時点でのPRIDEの主人公であることを痛感しました。ミルコ登場以前の諸王の割拠から、生意気盛り(でありながら不安だらけ)のミルコ出撃、強敵との戦いによる挫折・復活を繰り返し、ついに悲願のPRIDE無差別級のベルトを奪取しながらも、いまだ物語は完結を迎えていないドラマティックさ。PRIDEを単に「世界最強の男を決める場」以上のモノたらしめているのは、ミルコの人生を我々観客が共有しているからでしょう(これはフジが作った煽りVTRの最大の功績だと思います)。今までのグランプリのフィナーレでこれほどまでに多幸感に包まれたエンディングは無かったと思います。
ただ今回の興行に関して言わせてもらえば、無差別級GPに出場している選手の発するあまりの輝きにその他の選手がすべて霞んでしまったのは致し方のないこととはいえ、無差別級GP以外の試合には単なる「どっちが強いの?」以上の何かは感じられませんでした(中村対中尾に関して言えば「オレはお前より強いんだ」「オレはお前に勝ちたいんだ」という意識すら感じさせられず)。復帰戦のショーグン戦以外は極端な話「どっちがどっちだっていーよ、別に」という試合ですらあったのです。それはストーリーを構築しないマッチメイクを繰り返すDSEのせいでしょう(アリスターは何回次期ミドル級王者挑戦者決定戦に出るんですかね?)。全試合にドラマを求めるのは行き過ぎですし、昨年のようにミドル級GPの決勝戦を食ってしまうような、ヘビー級タイトルマッチが出てきてしまうのも困りものです。しかしUFCやHERO'Sのような他の興行とPRIDEの差というのは、単なる選手の実力差だけではなく、その出場選手の人生までをも観客が共有し応援出来(スポーツ的な概念からすると邪道な見方ではありますが)、わずか数十分の試合でこの上ないカタルシスを感じられる点でしょう。PRIDEはこれからもこの点を大事に、それでいながら競技としての成熟(吉田対小川みたいなレベルの低いのはアンダーカードで結構です)を目指していってほしいです。

ミルコ・クロコップ
評価:★★★★★
ジョシュ・バーネット
評価:★★★★★
アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ
評価:★★★★
ヴァンダレイ・シウバ
評価:★★★
エヴァンゲリスタ・サイボーグ
評価:★★★
西島洋介
評価:★
エメリヤーエンコ・アレキサンダー
評価:★★★
セルゲイ・ハリトーノフ
評価:★★★
ヒカルド・モラエス
評価:★
イ・テヒョン
評価:★
中村和裕
評価:無し
●中尾“KISS”芳広
評価:★
マウリシオ・ショーグン
評価:★★★
●ザ・スネーク
評価:★★★
ヒカルド・アローナ
評価:★★★
アリスター・オーフレイム
評価:★★