ミルコ・クロコップUFC初戦は圧勝、そして試合以上に心に響いたモノ

バックステージでチームクロコップのメンバーと共に入場するその瞬間、
「ダン!ダン!ダダンッ!」
日本中のPRIDEファンが「ミルコ、お前男だ!」と親指を立てた瞬間だと思います。
これを提案したのがミルコ本人なのか、今井賢一氏なのか、それとも榊原信行氏なのかは分かりませんが、実はあのPRIDEのテーマで入場するというのは、PRIDEのTシャツを着てオクタゴンに入ることより、PRIDEのベルトを巻いてオクタゴンに登場するより、オクタゴン内で「オレはPRIDEのチャンピョンだ!」と叫ぶことより、それらの行動を全部合わせた数百倍も日本のPRIDEファンの魂を揺さぶる感動的な瞬間だったと思います。PRIDEファンとしてみれば「出て行ったと思っていたら相手はまだ自分のことを想ってくれていた」という究極のツンデレを突きつけられたような感じで、そこも含めて何とまあ日本向けのサービスよ、という気持ちにさせられますね。直接的なものではなく、間接的にPRIDEファンの心の奥底を震えさせるこのアイデアによって、まさに日本人ファンだけが味わえる「粋」が、ミルコの入場に感じられました。

この間、知人の家のVTRでPRIDEの入場曲が流れたのを聴いたとき、どうしようもないほど寂しさで胸がいっぱいになってしまったんだ。自分でも意外だった。UFC参戦の決断をしてから、心の中ではとっくに整理がついていたと思っていたんだけど、あの『ダンダンダダン』って音を聴いたら急に胸がざわついたんだ。『ああ、俺はあの音楽をしばらく生で聴けないんだな』って。……PRIDEでは、あの音楽をいつもバックステージで聴いていた。俺にとってはスイッチみたいなものだった。コールとともに急に前が開けて観客席にみんなの顔が見える。手を振る人、名前を呼んでくれる人、そして俺も手を振り返す。そうすると不思議と落ち着くんだ。それまでのナーバスな気持ちが消え去り、試合に集中していける。あの音楽はそんなスイッチの役割を果たしてくれた。
GONG格闘技2007年3月号より

ダナ・ホワイト ミルコが『PRIDE』の曲を使うことは承認したよ。こちらからリクエストはしなかったけどね(笑)。
kamipro handより