やれんのか!観戦記

■オープニング

号泣。佐藤大輔は本当に凄いと思いますが、それ以上に会場演出の素晴らしさに感動しました。もちろん長年の蓄積の上でのことなんですが、これを観てしまうと今後どのようなメジャーマットでも、これを越えることは不可能なのでは?と思ってしまいます。そのくらい素晴らしいものでした。特にヒョードル登場時の割れんばかりの声援に涙しました。
■○マイク・ルソー vs ローマン・ゼンツォフ×(1R 裸締め)

ルソーは強豪ゼンツォフに下馬評を覆しての勝利。第一試合を1ラウンドで勝利するという意味で、オープニングマッチの重責を果たしたという面でも高評価です。
■○川尻達也 vs ルイス・アゼレード×(判定)

川尻は気負いすぎたんですかね?もっと強豪との試合だったり、噂になっていたアンドレ・ジダシュートボクセ離脱のせいで消滅?)だったらモチベーションの面でもっと上がっていたかもしれません。
■○瀧本誠 vs ムリーロ・ブスタマンチ×(判定)

瀧本は前戦のゼルグ“弁慶”ガレシック戦の好バウトがフロックではないことを証明しました。試合全体を支配していたブス先生はダウン一回で印象点を逆転されてしまいましたね。判定は微妙でしたが、会場では概ねこの判定で納得していたように感じました。
■○石田光洋 vs ギルバート・メレンデス×(判定)

メレンデスが若干線が細く見えましたが、石田対メレンデスはこの大会もベストバウト。石田の動きが素晴らしくて、「やられたらやり返す」的な展開も最高でした。ただ上をキープしようが、バックに回ろうがフィニッシュに行けそうな感じはまったく無かったので、緊張感という面では微妙だったかもしれません。
■○三崎和雄 vs 秋山成勲×(1R KO)

おそらくPRIDE史上最低の人気&評価だったチャンピオンの三崎がこれほどの大声援で迎えられるというのも、秋山のネガティブ面が持つ凄さなんでしょう。とにかく前半の三崎の動きが硬くてハラハラ感を倍増させられましたが、一発喰らってから動きがだいぶ良くなり、フィニッシュに繋がりました。フィニッシュがサッカーボールキックなのでは?というのは僕も感じましたが、今のところオフィシャルでは特に何のコメントも出ていません。
しかし試合後の爆発力満点の三崎劇場は凄かったですね。魔王撃退の興奮をすべて吹っ飛ばす凄まじい破壊力でした。笑った笑った。
■○エメリヤーエンコ・ヒョードル vs チェ・ホンマン×(1R 腕十字)

ヒョードルの強さ(腕十字に入るスピードとか)は言わずもがなですが、今回評価したいのはホンマン。浴びせ倒しでテイクダウンを防ぐのも驚きでしたし、ガードポジションからでもガンガン入る強烈なパウンドは凶器そのもの。本気で総合を始めたらスーパーヘビー級では誰も勝てなくなるんじゃないですかね?このようなリスキーなカードを受ける勇気も評価出来ますし、僕の中ではホンマンの評価はかなり変わってきています。
■○桜井“マッハ”速人 vs 長谷川秀彦×(判定)

川尻対アゼレードの試合の次辺りで行われていれば、「別に……」というレベルの試合でしたが、最後の大会のセミファイナルがこれじゃ不味いんではないでしょうか。ただ長谷川は良い選手だと思います。PRIDEに出てくるレベルの選手だったかどうかは微妙ですが。
■○青木真也 vs チョン・ブギョン×(判定)

ブギョン強し!打撃系の選手と当たれば全く違う結末となっていたんでしょうが、結果的に青木との試合でそのポテンシャルと負けん気の強さを遺憾なく発揮しました。おそらく今後はHERO'Sでの活動となるんでしょうが、今後が楽しみです。青木は勝ち急いでいすぎましたね。
■エンディング

昨年の男祭りのようにエンディングVTRが用意してあれば最高だったんですが、それは贅沢というものでしょうか。ただ「やれんのか!」に関係ない選手がリングに大量に上がってはしゃぎまくっている姿は、正直不愉快でした。リングの上で飛び跳ねるDEEPの女子選手や、このリングの再開を待たずに背を向けた選手がマイクで嬉々としてアピールする姿は怒りすら感じます。ハッキリ言ってしまえばヒョードル、青木、マッハ、川尻、石田だけがこのリングで観客に感謝の辞を述べる資格を持つと言っても過言ではないのではないでしょうか。彼ら5人が今後どのリングに上がるか分かりませんが、彼らがリングに上がり続ける限り応援していきたいと思います。
それから立木文彦が登場した時は絶対その筋の方だと思ったので、早速コンプライアンス面での心配をしてしまいました。
■総評

爆発しては鎮火されというマッチポンプを繰り返した大会ですが、このような世界観のイベントを再び観ることができたのは大きく評価出来るでしょう。そのことに関しては、ただただ感謝するのみです。
しかし致命的だったのは「地上波生放送」という禁断の果実を得るために試合順を入れ替えてしまったこと。これが今後、吉と出るか凶と出るかは分かりかねますが、少なくとも最後の大会でPRIDEの世界観を構築してきた最大の功労者である煽りVTRをぶち壊し、観客のカタルシスを完全に奪いさったというのは非常に罪深いことだと思います。