桜庭和志対秋山成勲問題、一応解決

昨年末のDynamite!!のメインイベントとして行われた秋山対桜庭の試合中に、桜庭が秋山の脚が滑ると抗議していた問題で、主催であるFEGから結果報告の記者会見が行われました。
http://www.k-1.co.jp/report/20070111r.html
http://www.k-1.co.jp/report/20070111r_11.html
と言うことで秋山はスキンクリームを塗布していたことが発覚。塗った側の秋山に悪気が無かったので試合が無効試合となり、秋山のファイトマネーの全額没収という激甘な処分となりましたが、様々な障害がありながらも競技としてのK-1=HERO'Sを守った形のFEGは大いに評価して良いんではないかと思います。
またグローブ問題に関しては、審判団立ち会いの下で秋山がグローブを外し、それをチェックしたとのことなのでおそらく問題は無かったのでしょう。ただグローブを作成したISAMI側には「そんなに簡単に剥がれるはずがない」という見解もあるそうなので中途半端なしこりは残りますが、こちらもFEGの報告は整合性がとれているのでまあ良いんではないかと思います。
それにしても僕は選手の不正や選手の離脱、訃報、団体の崩壊など様々なネガティブニュースを見てきましたが、正直言って格闘技のニュースを読んでいて泣きたくなるほど切ない思いをしたのは今回が初めてです。この手のニュースはどこかで面白がって傍観していることが多かったのですが、このニュースだけはちょっと違う感じで受け止められました。それはあの桜庭がこのような形で悲痛な叫びを上げなければならなかったことに対する同情や、秋山のような意識の低い選手が大手を振っている日本のメディア中心の格闘技界の状況に対する悲しみ、そして「どうせまた真実は闇の中だろ」と諦めてしまっていた自分に対する怒りが、グチャグチャになっているせいなのかもしれません。とても難しい問題ですが、少なくとももう秋山の試合は二度と観たいとは思いません。それは多くの格闘技ファンが思っていることでしょう。
ついでに秋山の人間性が非常に醸し出されている発言の遷移を以下にまとめます。

■2006年12月31日 試合直後
●秋山のマイクパフォーマンス
「まず、今日ここに来られた皆さん、ありがとうございます。そして入場に参加してくれた柔道家の少年少女、柔道ってなかなか強いやろ。ここで“柔道、サイコー!!”って言いたいところだけど、ここに清原さんが居てます。今日もし勝って勝利者インタビューするなら、“泣ける話をしろ”って言われてました。だけど、死に物狂いで頑張ってる清原さんに、この勝利を捧げたいと思います。ボロボロになってグラウンドに立っている清原さんを目に焼き付けたいと思います」


●試合後のコメント
――その右手は?
痛いっすね。自分でも記憶にはないんですが。殴り疲れです。


――試合を振り返ってみて思うことは?
自分も試合をするものとして、もう少し早く止めていただいてもと率直に思った。


――途中、躊躇した?
そういうわけではない。いや、ちょっとあるかな。1回、2回レフェリーを見た記憶はある。止めるタイミングって統一されてないのかなって思いました。それは皆さんも思われていることだと思いますが。僕がそれを早く止めろとは言えないわけで。殺し合いじゃないんでね。ちゃんとしたスポーツなんで。


――桜庭選手が何かしゃべってたが?
僕の身体がすべるって言われてたみたいなんですが、審判の人と相手セコンドの人と集まって僕の身体を触った上で、問題ないという判断を得た。


――そんなプロセス含め、何かすっきりしない?
そうですね。残念っていう気持ちも確かにあるんですが、結果は結果なんで。それは見てる人が判断すると思います。


――柔道着を脱ぐのはいつ決めた?
ぎりぎりですね。着て戦おうかと思ったんですが、直前になって、やっぱ脱いでみようかと。自分の本能を信じ、それに任せた。


――道着を着ることのメリットは?
道着を着ても一長一短、脱いでも一長一短なんです。まあ、年末なんでいいじゃないですか(笑)。僕が道着を脱ぐことで、少しでもみんなが「おおっ!」って言ってくれたらね。それが僕たち格闘家としての課題だとも思う。


――振り返って、この一年は?
たくさん走ったと思います。正直、この年末にかけてケガもして、体調が万全ではなかったのも事実。毎年、年末に疲れが出るんですよね。それを乗り越えてこれたことが、また自信に繋がると思います。


――今日の試合に対して思うことは?
スッキリしない部分もあるが、結果だけ見て、それにおごらず天狗にならず、またもう一度初心に戻ることが、柔道家としても武道家としても一番男前だと思うので……。うん、それがいいと思います。


――韓国のファンにメッセージを?(韓国メディアからの質問)
(韓国語で)まだまだ僕はお金がなくて、今は韓国のファンの皆さんを招待できませんが、必ず、お金をもっと稼いで招待したいです。


――今日の勝利を清原選手に捧げるといっていたが、それに対して清原選手は?
俺なんかよりもっといろんな壁を越えて今にたどり着いてると思う。番長って言われてるけど、本当はすごく素直で男気のある人。僕から清原さんに伝えられることって、こういう形でしかできない。何かプレゼントしても喜んではくれないと思うんです。やっぱ、こういう形が一番胸に響くんじゃないですかね、男って。これを胸に来シーズンはバンバン打って欲しい。それを見て、俺もまた頑張るし。畑は違えど実のあるライバルだと思ってます。


――来年の目標は?
来年は壁にぶち当たる年だなっていうのは薄々感じてるんです。それを乗り越えるのは初心に戻ること。それが一つの目標ですね。


――金泰泳選手も秋山さんと決着をつけたいと言っていたが?
そうですよね。金さんめちゃくちゃ強いですよね。ちなみに永田さんも強かったじゃないですか。早めに戦っといて、ちょっとホッとしてますよ(笑)。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/k1/live/200612/31/a14.html

■2007年1月1日 記者会見
その秋山は、試合中に桜庭が“タイム”のアクションを出したことについて「『何かやってるな』みたいな感じでした。試合中にタイムと言われて、よし分かったとタイムする選手は誰一人いないと思う。興奮している人間を止めることはなかなかできない。それに何かを言っているのは分かったけれど、言葉までは聞こえなかった」と状況を説明した。桜庭の猛抗議も「レフェリーにも桜庭さんのセコンドの人にも全部チェックしてもらって何の問題もなかった。だから抗議されても応えようがない」と困惑気味だった。秋山は「実は多汗症なんです。すぐにボタボタと流れ落ちるほど汗が出るんですよ」と笑う。カッと急に熱くなったり、緊張すると特に汗が流れ落ちるという。「もしかすると、それが原因ですかねぇ」と首をひねっていた。再戦については「今は何も考えていない。これをネタにもう1回やらせてくれというのもおかしな話だし。もちろん桜庭さんにはあこがれの気持ちをもっていますから、将来的にもう一度胸を借りられればいい」と複雑な心境を吐露した。
それでも試合内容には満足そうだった。「桜庭さんがタックルにいって倒せない相手はいないと聞いていた。自分では倒されてもいいかと考えていたけれど。試合の展開を見ると倒されなかったんで、ちゃんと冷静にその場その場で判断していたのが良かったと思う」と勝因を語った。打撃は「成長したとは思っていない。まだまだ足らない気がする。立ち技でも試合できるようにしないと総合では勝てない」と、勝ってかぶとの緒を締める心境か。けがは右尺骨(しゃっこつ)の骨折と判明した。「試合のどの場面でけがしたのかは分からない。試合が終わってから気付いたんです。殴ることによって折れたと思います。全治には最低5〜6週間はかかるんじゃないかな」という。2006年を振り返り、「一生懸命に突っ走った1年でした。結果だけ見れば、いい形で終われたと思う。最後の最後でけがをしてしまったけれど、それも初心に戻れという啓示だと思って、シッカリ治したい」と、あくまでも前向きだった。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/k1/column/200701/at00011924.html

2007年1月11日 記者会見
「まずはじめに、あの大舞台で桜庭選手との試合をさせていただいた関係各位の皆様、そしてあの時に集まってくれた140人の柔道の子どもたち、それから全国のファンのみんなに対し、本当におわび申しあげなければなりません。自分のとった行動が本当に皆さんの事を裏切ってしまい、本当に深く反省しております。処分に関しては、ルール違反でないと自分で思っておりましたが、本当にそこの認識のなさがこのような問題を起こしてしまい、深く反省し、痛感しております。その試合の後、いろんな不信感があり、いろんな問題が起きたんですけれども、そのことに関し、自分は本当に悪意を持ってしておりません。ですが、疑いを持たれること、それ自体が大きな問題になってしまい、そのことを心から痛感し、反省して、何の弁明の余地もありません。処分に関しても、桜庭さんが納得されてない部分もたくさんあると思います。ですが、自分はどんな処分も受けるつもりでいてます。その処分を受けて、また桜庭さんと機会があれば、笑ってリングの上で闘えればなと思うというのと、しっかりと桜庭さんの目を見て謝罪をしたいと思っております。そして、自分がこういう風になってしまった以上、もう一度、格闘技の名誉と僕を応援してくれる柔道の子どもたち、ファンのみんなに応援してもらえるようにこれからしっかりケガを治して精進していきたいと思います。本当に申し訳ございませんでした。そして最後に、桜庭さん、本当に申し訳ありませんでした」


以下は秋山との一問一答


──控室で塗っているときに、周囲にやめた方がいいという人はいなかったのか?
秋山 山田トレーナーはセミに出る鈴木悟選手のところに行っていた。それで、周りにはプロの人間がほとんどいなかった。幼なじみとか友だちとか、寄せ集めの草野球チームのような感じで頑張ってきて、それを自信にしていたが、塗っていたときにそういう言葉をかける人間は正直、いなかった。


──クリームは何のために塗ったのか?
秋山 もともと毎日使っていたもので、柔道の時から保湿のクリームとか、女性の方も使うと思うが、手足が多汗症で、いつもタオルを持っていなければならない体質。冬は汗が出る分、外側がすごく乾いてしまう。だから日常の生活の中で使っている乳液を使ってしまった。


──全身に?
秋山 顔ももちろん、手に塗ったり、シャワーを浴びれば体に塗ったりと、全身に塗るのが毎日の生活の一部だったので。


──塗らなければ乾燥でひび割れたりする?
秋山 そうです。


──全身に塗ったのか? それとも一部の部所だけ?
秋山 ある程度、いつも腕に塗ったりとか、肩に塗ったりとか、顔に塗ったりとか、全身くまなくという、指先まで全部塗ったりは……。まあ適当っちゃ適当なんですけれども……、塗りました。


──スミルノヴァス戦でクリームを使わなかったのはなぜか
秋山 時期的なものもある。あれは10月で、自分の中ではまだ暖かい季節だった。今回は12月31日で寒く、すごく乾燥する時期ということと、そこまでクリームを絶対に塗ってどうこうという、自分の性格のこともあるし、なぜ塗らなかったのかといえば季節のこと。


──桜庭から「すべる」という抗議が出たときに、自分のクリームのことではないかという疑念はなかったか
秋山 試合中は興奮もするし、正直、何を言っているのか分からなかった。時間を経て、いろいろ抗議とか問題が起きたときに、自分でも隠すつもりもないし悪意もないので、よく考えたらそうだったなというのは後々、気付いた。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/k1/column/200701/at00011997.html

ただひとつだけ声を大にして言っておきたいのは、今回の問題はあくまでも秋山成勲という一個人の下卑た人間性に原因があるということを間違えてはいけないということです。秋山が在日韓国人であったことは今回の件に何の関係も無く、そこに原因を求めんとする一部のネット右翼や、逆に今回のバッシングを秋山が元在日であることと絡めて言いがかりであると反論をしていた被害者意識の固まりのような一部の韓国マスコミには猛省を即したいと思います。